不動産投資を語ろう

そのため、しばらくの間は、アセットマネジメントの話が出てきたときは、それがどこまでの業務範囲を意味するかについて、よく確認することが必要だと思います。
企業の業績は、一定期間(1年、半年、3カ月など)の会計上の利益で評価されます。
従って、その根本となる会計制度がどのようなものであるかを知ることの重要性は、いうまでもないことです。
その会計制度が、ここ数年で大きく見直されてきており(会計ビッグバンとも呼ばれます)、これが不動産ビジネスにも大きな影響を及ぼすようになっています。
不動産ビジネスに特に関係の深い会計上の変更点として、従来から採用されている資産の取得原価主義に、時価主義の考え方が一部導入されたことが挙げられます。
取得原価主義とは、資産を取得したときは、その取得価格を企業のバランスシート(貸借対照表)に記録するという原則です。
例えば、 A社がある土地を10億円で購入したとすれば、 A社のバランスシートの資産欄には、土地10億円と記録されます。
バランスシートに記録されている価格は時価に関係なく、その企業がいくらでその土地を購入したかを示しているわけです(ここでは簡略化のために、金利の資産勘定への算入などは考慮外とします)。
一方、時価主義会計とは、所有している資産を時価で評価しようとする会計制度です。
これは、ある時点における企業の実態は、その資産を時価で評価した方がバランスシートに適切に反映されるという考え方に基づくものです。
10億円で購入した土地の価格が仮に15億円になったとすれば、企業のバランスシートの資産欄には土地15億円と記録され、その分(5億円)企業の利益(内部留保)が膨らんだことになります。
逆に8億円に値下がりしたとすれば、企業の利益(内部留保)は2億円だけ減ってしまうことになります。
これまで日本では、不動産は取得原価主義に基づいて、バランスシートに記録されてきました。
つまり40年前に購入した3億円の土地は、インフレ(物価上昇)が続いて時価が50億円になっても、企業のバランスシートにはずっと3億円のままで記録され、差額の47億円は企業の含み益として温存されてきたわけです。
この含み益によって、企業は本業の業績が悪化したときに含み益のある不動産を売却して利益を捻出し、安定的な利益を上げることができたのです。
いわゆる「含み経営」です。
ところが、今はデフレ(物価下落)の時代です。
まして平成バブル崩壊後、日本の不動産価格は大きく下落しています。
10年前に30億円で購入した(バランスシートに土地30億円と記録されている)土地の価格が20億円に下落し、 10億円の含み損を抱えるような状態になってしまっているわけです。
これまでの取得原価主義であれば、含み損はあくまで「含み」損なので、土地の価格が下落しても基本的には企業の業績には何の影響も及ぼしませんでした。
しかし、時価会計の考え方が導入されると10億円の含み損を顕現化し、何らかの形でその損失を企業の業績に反映しなくてはならなくなるのです。
その意味で時価会計の導入は不動産を所有している企業にとって、非常に大きな影響を持つのです。
会計ビッグバンでは、不動産については原則として引き続き取得原価主義が適用されるものの、時価が著しく下落して含み損が大きい不動産に関しては、その損失を企業の業績に反映することになりました。
具体的には、販売用不動産の強制評価減と固定資産の減損会計で、時価主義の考え方が取り入れられています。
詳細は省きますが、販売用不動産の強制評価減とは、不動産会社や建設会社が持っている販売用不動産(分譲マンション、分譲宅地など)の価格相場の下落が著しく(概ね取得価額の50%以上の下落)、回復の見込みがないときに、企業の決算書で評価損失を強制的に計上させるものです。
公認会計士の監査対象である建設会社・不動産会社は、 2001年3月決算以降、販売用不動産の強制評価減を実施することになっています。
固定資産の減損会計は、賃貸ビルや賃貸住宅などの固定資産の資産価値が著しく下落した場合に、帳簿価額と資産価値との差額を減損が生じた決算期の特別損失として計上することを求める制度です。
資産価値は、一定条件の下での投下資金の回収可能性から判断されます2006年3月末の年度決算(および2005年9月末の中間決算)から強制適用となりました。
この会計基準導入による企業への影響は大きく、すでに多くの企業が強制適用前に評価損失を計上したり、対象となりそうな不動産を売却したりするなどの対応を講じています。
日本の会計制度に時価会計が導入されることになったのは、橋本龍太那元首相が1996年から推し進めた金融ビッグバンが背景となっています。
金融ビッグバンとは、 2001年までに日本の金融市場を「フリー(市場原理が働く自由な市場)」 「フェア(透明で公正な市場)」 「グローバル(国際的な市場)」な仕組みに変えて、ニューヨークやロンドンと並ぶ国際金融市場とし、日本の金融並びに経済を活性化しようとするものでした。
そこで重視されたことは、金融業務の規制を緩和する(銀行、証券、保険の相互乗り入れ、金利の自由化など)とともに、金融商品に対する投資家の自己責任を求めることでした。
自己責任というのは、例えば、預金金利が有利な銀行に預金を預けた場合に、その銀行が倒産して預けたお金が戻ってこなくなっても、それはその銀行を選んだ預金者の責任だとする考え方です。
しかし投資家に自己責任を求めるには、投資家が預金や投資をしようとしている銀行や会社の財務状況、および投資対象となる金融商品の中身を適切に把握し、自分のリスクで投資できるだけの情報を得られることが最低条件となります。
そこで、会計制度の整備、ディスクロージャー(情報公開)の徹底を図る会計ビッグバンが必要とされ、時価会計の導入をはじめとするいくつかの会計制度の改革(連結財務諸表の重視、キャッシュフロー計算書の導入、税効果会計の導入、退職給付会計の導入)が2000年3月期から順次、実施されることになったのです。
ほぼ同時期に国際会計基準委員会(現在の国際会計基準審議会)が証券監督者国際機構(旧SCO)の支持を得て、国際会計基準のコアスタンダーズを策定し、世界的に国際会計基準導入の気運が高まったことも、時価会計を含むグローバルスタンダードの導入という意味で、影響を及ぼしたといえるでしょう。
なお、国際会計基準についてはすでに欧州連合(EU)が2005年1月からの導入を決めています。
米国も2002年秋の「ノーウオーク合意」で、中長期的に米国会計基準との統合を目指すことになっています。
不動産への投資判断にあたっては、投資対象となっている不動産の市場動向をよく調査する必要があります。
ここでは不動産市場の動きを把握するためのポイントを、地価、賃貸オフィス市場、賃貸住宅市場、分譲マンション市場の4つの分野に分けて説明します。
また、自分で市場動向を分析するときのために、それぞれの市場に関するデータの入手先についても、併せてここで触れておきます。
地価を分析するためのデータある土地の価格を端的に示すのは、その不動産が実際に売買された価格です。
しかし、不動産の市場化が進みつつあるとはいえ、現在は実際に不動産がいくらで取引されたかについて、公表される事例はまだ少数です。

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